金崎 敬江
miel

- miel[ミエル] -
東京オレンジ、bird's-eye view、picoLoop%と様々な作品創りに関わり、また、客演、振付、その他パフォーマンスを行ってきた金崎敬江が企画し、振付、構成(時には演出)をする。2010年度発足。
"le miel"はフランス語のハチミツ。甘くて、とろっとしていて、でも天然ものだから赤ちゃんは食べられない。そんな甘い幸せと共に、ちょっと危険を孕んだような作品を。
また「見える」「視える」何かが出せるように。
連絡先(お問い合わせ先):
miel.miel.2010☆gmail.com(☆を@に変えて)



miel(ミエル)#003
『 す き  と お り 』

2014.7.30.wed.-8.5.tue.
@スタジオ空洞(link)


miel(ミエル)#002
『 ま ○ る 』

2012.05.09.-14.
@ザ☆キッチン NAKANO(link)


miel(ミエル)#001
『こ こ  ち   り』

2010.12.23.-27.
アトリエセンティオ(link)

11.01.2016

『 や み つ き 』役者紹介 その7(大内慶子)

残り二人となりました。次の俳優紹介は
大内慶子(おおうちけいこ)ちゃんです。

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一平くんからのご紹介で、ご参加頂くことになった女優さんです。
昨年出演した音楽劇で知り合ったそうです。

女優がもう一人ほしいんだよーという要請に
身体が使えて、かわいい人、というのが簡単に言えば私からの条件だったのですが
「あぁ、おりますよ」ということで慶子ちゃんをご紹介くださった。
かなりきちきちのスケジュールにも関わらず、興味を持ってくださいましてのご参加となり
ドキドキの稽古初日。

本人としては大人しい子を装うとしていたようなのですが
あれ?おっちょこちょいさんなのかもね、といういくつかの言動により、私の印象は愛嬌ある子だなとなりました。
よかった。安心しました。
そして関西出身なので、馴染んでくると思いきり関西弁で喋るのです。
ノリツッコミができる!これは、私の尊敬すべき点。

しかしながら、その本来持っている面白さとか、
ぐちゃっとか、くちゃっとか、およよよよとか、しちゃうところを出し惜しみするんですのよ、この子は。
できないことを隠そうとしちゃうのです、バレてるのに。
そのできないことに対してじたばたもがいたり、恥ずかしくて仕方ないのにそれをさらけ出してる姿の方が
ずっとずっとかわいくて美しいのに。
そう思って、ひとつ大きな役割のシーンを渡しました。

毎日さらけ出しまくって、その都度死んで、また生き返って。
どんどん、深く深くの慶ちゃんに手が届けばいいなと思っています。
潜った分、大きく飛び出して
一見醜いかもしれない、巨大な力の中には
慶ちゃんの一番底にある、人間も動物もみんな好きで愛してるんだよって粒がキラキラしているはずだから。

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写真は、さとぴんが撮りました。

どアップなのは、さとぴんが近づいていい匂いを嗅ぎたかったから
なんじゃないかな...



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『 や み つ き 』役者紹介 その6(谷畑聡)

いよいよ明日は小屋入りです。
6人目は、劇団AUN所属 谷畑聡(たにはたさとし)さん。
さとぴん、と呼ばれています。

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さとぴんも初めまして。
私と同世代の男優さんがどうしても必要で、探していたら
紹介されました。
アマヤドリ『月の剥がれる』に出演なさっていたので、出演を承諾して頂いてから拝見しに行きました。
すごい濃い方でした(笑)
ここ最近のさとぴんの出演作では、持つ頻度の高いという小道具、セカンドバッグも似合っておりました。
そういう(いかつい)キャラクターなのです。
いやぁ、いい人を教えて頂いたなぁと。

稽古場へ来た初日から、出していこうという意識が強く、出し切ってからどうするかだと
常に自分の限界を広げていこうとしているのを感じます。
経験値から、掘り起こされる様々なおもしろ要素も、隙間を縫って提出してくれて
場のエネルギーを、常に満たそうとします。

テキストやシーンにおいての、自分の解釈、プランニングを持って欠かさないのはもちろん
強さを持っているので、頑固かと思いきやすんなりと新しいものに乗っかることができる。
急に何か振っても、まずはやってみて、ダメなら中途半端に諦めるのではなく思いっきり失敗してみせる。
だから、次の手を考えられる。

戦って来た人だな、と感じています。
ここまでやれる、でもまだまだこんなもんじゃない、そんな気迫を受け取っています。
なので、色々渡しちゃうんですよね、お願いしちゃうんですよね。
次は何をやってくれるんだろうと。たぶん身体はキツイと思うんです。

出演依頼した際に、動けないですけど大丈夫ですかと質問がありました。
自分の身体がわかっていれば、そして谷畑さんはわかっていると思うので問題ありません、と返事しました。
問題はないんです、ただ、じゃあもっとやってもらっちゃおう、新しい身体みつけてもらおう
ってなるだけなので(笑 
だし、予想通り動けない訳ではありませんでした、やはり。
今回、俳優たちはほぼ出ずっぱりですが、さとぴんの出ずっぱり具合はなかなかのものです。
汗を更なるエネルギーに変えてく姿に、きっとわくわくして貰えると思うのです。

写真は、千晃ちゃんが撮りました。
一人こつこつ練習するさとぴんの隠し撮り。下を向いてるので、これだとわかりませんが
眼力すごいんですよ、さとぴん。
そんな眼力を間近に見られる私のシーンがあるんです。あぁ、この人の前では嘘つけないな、ってね。


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10.31.2016

『 や み つ き 』役者紹介 その5(与古田千晃)

次に紹介するのは、mielではお馴染となってまいりました
T1project所属、与古田千晃(よこたちあき)ちゃんです。

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千晃ちゃんは2年前の『 す き  と お り 』、
そして4月にあった『 み  ち 』に出演してくれています。
今回がmielに3度目の参加です。
元々の出会いは2012年の『ま ○ る』を観て頂いた時。
今回のメンバーの中では、一番の馴染みがある俳優さん。
出会いのエピソードも書いてある『 す き  と お り 』の紹介は こちら
少人数で取り組んだ『 み  ち 』の紹介は こちら からご覧ください。


毎回mielの色々な作劇方法に、うひょー、ぐるぐる、あれれれとなりながらも
どんどん新しい引き出しを開け続けています。
他の現場、そして日々の経験値から、人間としての厚みを増してきています。
かわいいときれいと、元気さと艶っぽさと、人間じゃないもの(笑)なんかが
ごちゃまぜになった素敵な女優さんです。

しかしながら
今回の千晃ちゃんの私が注目しているのは、前回までと明らかに身体が変わったこと。
身体ワークショップに来るようになり、『 す き  と お り 』に出て
ヨガをやり、『 み  ち 』に出て、最近は合気道を始めたそうです。
身体は正直。

身体を考え、捉え直して、意識して使っていくことで、必ず変化していく。
重心の位置が変わり、背骨が柔らかく使えるようになった。
前回までの千晃ちゃんは、「あー、千晃だなぁ」というキャラクターで
よく言えば見えてなかった、悪く言えば誤魔化していた身体の癖、弱さがなくなっている。
伸びやかになったともいえる。

明るさを根底に持った千晃に、伸びやかさが加わって
だからこそ、とても切なくなってしまうような、そんなシーンをお願いしています。
小さい身体でも、決して埋もれない与古田千晃という女優を、動物園に来たような気持ちで
愛でてもらえる作品です(笑)
そして、気づいたら千晃ちゃんの虜になっていると思いますよ。

写真は星麻くんが撮りました。
背の高い星麻くんが、いつもこの角度から千晃を見て、それがかわいいと感じているんだな、という写真です。(たぶん)

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10.30.2016

『 や み つ き 』役者紹介 その4(沼田星麻)

稽古も残り2回となりました。
『 や み  つ き 』は11月3日(木)からスタジオ空洞にて始まります。

4番目の俳優紹介は、アマヤドリ所属の沼田星麻(ぬまたせいま)くんです。
スタジオ空洞を所有している劇団でもあります。

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星麻くんも初めまして。
出演決まったのち、急遽吉祥寺シアターでのアマヤドリ公演『月の剥がれる』に折込みをしに行きましたら
場当たりを縫って、ロビーにご挨拶に来てくださいました。

第一印象は「でかい!」でした(笑)
本人にも、「大きいですね、プロフィールで身長は知っていたけれど、それよりも大きく感じますね」と伝えてしまうくらいでした。
なにせ私が小さいものですから、巨人の国からやってきたくらいの印象でした。

その数日後に『月の剥がれる』を観劇し、その存在感はただ大きいだけではないな、と感じ
稽古が始まってから、確信しています。

星麻くん、色んなジャンルの舞台経験から、身体が大事だということを知っています。
鍛えるのも好きです、まぁいますよね、鍛えるだけが趣味みたいな人。
でも星麻くんの筋トレは、俳優としてこの動きをしたい、こんな演技がしたいからこの筋肉は必要だ
と考えて鍛えているなぁと思います。
なので私としては、ここが柔らかくなった方が、そっちが生かせるよなんてことを話せるのが楽しいです。

筋肉の話でなく、星麻くんの存在感の話でした。
ずばり星麻くんはプライドの高い俳優だと、思います。面倒だな、と思うこともあります(笑)
ただそのプライドは、できないことを晒すことに、恥を感じるのが厭ということなもので
納得がいかない時には、とことん突き詰めます。
自分に対して厳しくする分、相手にも厳しくします。(笑)
たまに、あれれ出来ないやとなった時に、強そうなのにかわいい瞬間で
私はぐっときたりもするのですが、結局解決していっちゃうのですね、これが。
圧倒的な力と理念を持ってがっつり向き合ってきたものに対し、しっかりと受け止めて、よりよい自分を目指すのです。
そのぐるぐるしたものが、きっと存在感の大きさなのだなと。

集団創作の現場も少なく、私やmielとも初めてで最初は戸惑ったり、足踏みをすることもありましたが
わかんない!や、なんで?を態度や言葉で伝えてくれるので
共演者や演出家が、よければ、どんどん良くなる俳優だなと思います。
つまり、私も「あー、試されてるぞー」と刺激を受けているのです。

星麻くんの持つ、圧倒的な存在感と身体を生かすシーンをお渡ししています。
渦巻くエネルギーで、闇と光を伝えてくれるはず。
あー、あのシーン観たいなぁ。
そして数少ない、私と絡むシーンもございますのでどうぞお楽しみにしてください。

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撮影はどちらも、むらさきしゅうくん。
稽古場でのショット。
でもきっとこれは、私服。
自転車で稽古場に来るので、稽古着と私服がボーダーレス。


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Twitter 沼田星麻

10.28.2016

『 や み つ き 』役者紹介 その3(むらさきしゅう)

『 や み  つ き 』の俳優紹介、3人目はプリッシマ所属の
むらさきしゅうくん。

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しゅうくんも、初めましての俳優さんです。
演出助手、鐵くんからの推薦で参加して頂くことになりました。

身体が使えること、集団創作へのアイデア出しなどに積極的に関われること
また何よりも「mielに合ってます」という力強い推薦の言葉により
勇気を出して事務所へご連絡させて頂きました。

10月の始めはlibidoさんの「署名人」の公演中だった為、遅れての稽古参加合流でしたが
参加二日目にして、とあるシーンのリーダーシップを取っているという!
これか、お薦めの理由は!
他のメンバーも、刺激された時間でした。

今回のメンバーの中で、一番の若手なのですが遠慮せず、臆せずアイデアを出し、批評ではなく意見し、かつフォローする。
作品全体、シーンにおけるテーマを、とても敏感に感じてくれている俳優だなと感じます。
また、必ずいくつかのプランを持ち込み、稽古ごとにしっかり試す。
今はこれをやろうと思った、出来た出来ない、途中で変えてみた、どうだったか、じゃああっちはどうか。
そのやりとりを、演出、そして共演者と出来ること、これは俳優の大事な要素ですからね。

振付を渡した時のポイントを確実に覚えているのも素晴らしい。
真似るだけでなく身体をどう使えばそれになるのか、客観的な視点を持って取り組む姿。
俳優偏差値、演劇偏差値、高そうですよ、しゅうくんは。

今回ほぼ丸々お任せしているシーンがあります。
他のメンバーで様々な実験を経て、プランを決め、しゅうくんの参加初日に試してみた時にばっちりハマりました。
稽古してくうちに、感情が高ぶって言葉が飛ぶという経験を初めてしたそうです。
制御不可の域にいけることを経験すると、現在の限界を知れます。
それをどうコントロールするか。限界を広げていくのか。

そうそう今回、初めて舞台上にて踊るそうです。
しゅうくんの身体が、どんなエネルギーを繋いでいくのか楽しみです。
新しいむらさきしゅうをお楽しみに。

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写真はどちらも一平くんが撮りました。
飛ぶのか、何かを待っているのか。
と見ていたら、時計をヘディングしているようにも見える写真。
そして稽古場の皆の荷物が乱雑だ(苦笑)


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所属事務所 プリッシマ





『 や み つ き 』役者紹介 その2(岡野一平)

『 や み  つ き 』俳優の紹介、二人目はこの人。
岡野一平(おかのいっぺい)くん。
4月の企画公演『 み  ち 』にも出演してくださった俳優さんです。
その時の紹介は、こちらをご覧ください。
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その際に、是非またご一緒したい俳優さんです、と書いたのですが
こんなに早く願いが叶うとは!
嬉しい。
だって大変だって知ってるもの、mielの稽古が大変だって(苦笑)
それでも是非参加します、と言ってくれた時は、わーーいとなりました。

一平くんは、4月の公演ののち東宝芸能の所属となり、色々活躍中。
また9月に池袋の芸術劇場にて公演していた子供鉅人の『幕末スープレックス』でも大暴れしておりました。

さすが、しまじろうコンサートのお兄さん。振付を覚える早さはナンバーワン。
稽古始まった頃は、新しい面々に遠慮して少し押さえていた(と思われる)
ちょっとした毒舌と、突拍子もない思いつきからの、でも狙っているだろう前のめりな姿勢。
俺はここに居るぞという主張を、全体とのバランスを取りつつできる俳優だなと思っています。
たった一回でも、mielに参加したことがあるという経験値はmielの創作にはすごい大きな要素だな
と感じることも多々あり、私のやりたいことを体現してくれ、感謝しています。

4月にも、跳ねる身体を魅せてくれましたが、身体全部が生き生きとしているのが伝わるので
こんなこともやらせたい、あれもどうかなとアイデアが浮かんできます。
かっこよさとかわいさを兼ね備えている、おそらくモテるだろう男優です。
一平くんには、そのモテる要素と、でも男ってダメなのよね、でもそこがよいのよね
というような役を一つお渡ししております。
情けないのも、かっこいいのも、面白いのも出来るんですよ、とプレッシャーをかけつつ
また新しい顔と、活きた身体を魅せてくれるのを楽しみにしております。

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「よい子のみんなー、観に来てねー」
(稽古場で、コンサートのお兄さんを再現してくれていた際の1ショットです)

撮影は、どちらも江間直子さん。どちらもすごくよい写真!



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Twitter 岡野一平




『 や み つ き 』役者紹介 その1(江間直子)

『 や み  つ き 』初日まで一週間を切りました。
俳優の紹介を始めます!

トップバッターは、この人。
江間直子(えまなおこ)さん。無名塾の所属です。
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いつもちょっとおもしろおしゃれな格好をしています。
道産子の私は、江間ちゃんのお洒落を見ていると
東京っ子だなぁと感じるのです。
子とはいうものの、実はもう演劇20年選手。
来年の2月には、無名塾にて演出をするという強者です。
バレエをずっとやってきています。子供たちにも教えています。

直接の面識はなく紹介を受けて、渋谷のとあるカフェで初めましてと現れた時に、纏う空気が好きだなと感じました。

過去のmiel公演のDVDを観て、熟考させてくださいという言葉を受け
そこからのご参加の返信を頂いた時は嬉しかったです。

「やってみないとわからない」と江間ちゃんは稽古場でよく言います。
俳優として、信頼できる言葉です。
また演出をやっているだけあって、周りのことをよく観ている。
新しい引き出しを開ける努力を惜しまない、そこには自分がしっかりある。

今回の6本のテキストの中で、これは江間ちゃんに是非ともとお願いしているものがあります。
強さと明るさを持った役。
諦めているようで、でも未来を見つけた役。
今までも様々挑戦してきた江間ちゃんが、ちょっと困りながらも、そこに居ることに拘って創ってもがく姿を
毎日楽しく観ております。

お客さまがいる空間に立った時、すごいパワーと美しさを出すのだろうな
とわくわくします。
男優たちも惚れ直すがよい(笑)


写真は杉森裕樹くんが撮りました。
どこか帰りのホームかしら。


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10.20.2016

『 み ち 』舞台写真 その6

次のシーンは「Tete」というタイトル。
殺陣、なのです。

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暗くなって、2本のマスキングテープが引かれる。斜めに。
太い道。

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離れて向かい合う男たち。
戦い始める。
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徐々に近づいていく。

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それぞれの線上で戦っているので、近づいてもすれ違っている。
鏡越しに技を止める、佐野くん。
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線を両方踏み、実際に組み合う二人。
弟子と師匠のような関係。
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居る線と立ち位置が変わる。

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色んな技を繰り出す弟子(一平くん)

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受けたりかわす師匠(佐野くん)

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そして、技をかけられる。

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額を打たれる。

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倒れる。
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このシーンは、江村氏がジャンベの生演奏で
呼吸や動きに合わせて即興でのやりとりをしていました。
すごくかっこいいシーン、だったはずです。(本番は観れてないので、ちょっと悔しいのです)


殺陣振付:佐野功
演奏:江村桂吾
撮影:三浦麻旅子




10.12.2016

『 み ち 』舞台写真 その5

椅子が運ばれてきて、座る男。
犬のリードを足につけられる女。
その持ち手は、座る男に渡される。
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ミナモザ 瀬戸山美咲さんの『 す き  と お り 』への提供テキストのシーンです。

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無言のまま女は歩き、部屋を出ていこうとする
と男が、リードのストッパーを使い引き止める。
「どこ行くんですか?あなたの住所も電話で報告しました。」
「......。」
「金輪際、家に帰らないなら別ですが。」
「......。」
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リードの長さが短くされ、物理的に引き戻される女。

男の周囲を歩く。
男「なんで8年も。」
女「......。」
男「しかし、こんなに簡単に見つかるとは思いませんでしたよ。魔が差したんですか。」
女「......。」
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男「うちは人探しに関しては、独自のネットワークを持っています。最短30分です。

8年って、失踪宣告を出されてもおかしくない時間ですよ。まあ、お兄さんも最後の賭けに出たんですかね。それが一発。」
女「......。」
男「これまでどうしてたんですか。男に食わせてもらってたんですか?」
女(違うという表情)
男「ご自分で仕事を。」
女「はい。」
男「どんな。」
女「ただ......自分にできる仕事をしていただけです。」
男「そもそも、どうして失踪したんですか。」
女「だめだ、やっぱりお兄さんにすぐ来てもらうよう連絡します。(電話を手に取る)」
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女「8年前、金魚を飼っていました。」
男「は?」
女「一人暮らしの小さなアパートで、小さな金魚鉢で小さな金魚を飼っていました。かわいくて、かわいくて、毎日がんばって世話しました。あるとき、付き合い始めたばかりの男の人に、旅行に誘われました。おそろしく暑い夏でした。金魚のことはすっかり忘れていました。気づいた時には、3日もほっぽっていました。クーラーなんてうけて来ていません。窓際に置いた金魚鉢が頭に浮かびました。そうしたら、なんか家に帰りたくないなって思ったんです。」
男「はあ......。」
女「で、そのまま帰りませんでした。」
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そして、家族のことは気にならなかったのかなどを尋ねる男。
ウェブで見て、両親とも亡くなっていることを知っていると話す女。
親の死というタイミングでさえ、何故帰らなかったと尋ねる男。
女「本気で探していると思わなかったからです。」
男「どういう意味ですか。」
女「帰らなくなって気づいたのは、自分から消える必要もなかったってことです。」
小さい頃から、家族は兄の方しか見ていなかったと話す女。父親は元々身体が弱かったから、近いうちに死ぬと思っていたと。
男「......でも、死んだら取り返しつかないじゃないですか。」
女「そうですよ。私は取り返しがつかなくなるのを待ってたんです。」
男「お兄さんになんて報告すれば。」
女「もう関わらないでください、と伝えて下さい。」

沈黙。

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男「取り返しがつかなくなるのを待つ。でも、取り返しがつかなくなったはずのことはいつまでもあなたを追いかけてくる。どこまでもどこまでも追いかけてくる。」
逃げ続けて、忘れられる時もあるかもしれないけれど、いざという時なにもできない。
それはあなたは居ない人だから、と話す男。
男「でも、それもありじゃないですか。」
女「は?」
男「それで自分が死なないですむなら。」
女「......。」
男「死にたくなかったんでしょう。あなたは消えてしまいたいけど、死にたくはなかった。失踪の理由なんて全部一緒、それだけです。金魚は関係ありません。あなたは本当に取り返しがつかないことはしたくなかったんです。」
どうすればよいかと尋ねる女に、困ったらまた消えちゃえばよいと言う男。
あなたはかくれんぼのプロだと。
女「ふざけないでください。」
男「もーいーかい?みーつけた!」
女「ふざけないでください!」

と、視線を外に向ける二人。

男「よかったですね、かくれんぼが終わっていなくて。」
と、男はリードのつなぎ目を外す。女の足が自由になる。

女は、走って去る。


『 す き  と お り 』では、喫茶店の中の設定を生かして
向かい合った男女で話す動きがあまりないシーンでしたが、再演にあたり
心理的な要素を動きと、犬のリードを使って立ち上げてみました。


テキスト:「透き通り、」瀬戸山美咲(ミナモザ) 『 す き  と お り 』提供テキスト 『 み  ち 』用に改訂
撮影:三浦麻旅子


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