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金崎 敬江
miel

- miel[ミエル] -
東京オレンジ、bird's-eye view、picoLoop%と様々な作品創りに関わり、また、客演、振付、その他パフォーマンスを行ってきた金崎敬江が企画し、振付、構成(時には演出)をする。2010年度発足。
"le miel"はフランス語のハチミツ。甘くて、とろっとしていて、でも天然ものだから赤ちゃんは食べられない。そんな甘い幸せと共に、ちょっと危険を孕んだような作品を。
また「見える」「視える」何かが出せるように。
連絡先(お問い合わせ先):
miel.miel.2010☆gmail.com(☆を@に変えて)



miel(ミエル)#003
『 す き  と お り 』

2014.7.30.wed.-8.5.tue.
@スタジオ空洞(link)


miel(ミエル)#002
『 ま ○ る 』

2012.05.09.-14.
@ザ☆キッチン NAKANO(link)


miel(ミエル)#001
『こ こ  ち   り』

2010.12.23.-27.
アトリエセンティオ(link)

03.19.2015

『 す き と お り 』写真 その4

男女が居なくなると、奥から一人の男(佐野功)が出てくる。
疲れているのか、壁に手をつきながら。
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幕を見つめる男。
幕の後ろには、何かの気配。
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幕が上がると、奇妙な物体がそこにある。

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「一体なにがどうなって、お前はそんな風になっているんだ!今、なにが起きてるんだ!?ああ、この化け物め!やめろ!許せない。・・・俺はずっと耐えてきてやったじゃないか!」

音が鳴り始める。かなりの爆音で。
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奇妙な塊から、一人の女(与古田千晃)が生まれ出で、話し始める。

「「奇声をあげないと眠ってしまいそうだから」という絶望的にだらしない理由で日がな一日中「あー」とか「うー」とか「ぎゃー」とかエキセントリックにシャウトし続ける私のことをその男は苦悶の表情で見つめ続けて、そして、時に私の「ぎゃー」を遥かに凌ぐ上等でかつ残酷な、かつ可愛らしい迫力でもって泣き叫ぶ。」

しかし、女の言葉は男には届かない。男は、女を見えてもいないようで、塊に向かって話しかける。
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「どんどこどんどん、どんどこどん。」
「なんだ?何か話したのか?わけがわからない。  この化物!!いいから黙っていろ!」
「そお・・・妖怪、とか、化物、あ、私のことね。私が彼に抱いてる感情は、・・・「好き」。  
・・・そー、あたし、一等賞なの、彼に関して。彼がまだ踏みつぶせそうなほどミニマムな時代から彼を感じているわ。」
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「今、こうして、鉄格子沿いに彼を見るだに間違いなく、私が彼によって入れられているのは、「檻」・・・と言う事実。」
「動くな!俺の動揺に付け込んで逃げ出そうたってそうは行くものか!」
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「なんなんだ、どうしてお前の身体が、透き通り始めているんだ・・・?」
塊は女を取り込み、透き通り。
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「どんどこどんどんどんどこどん。」
「お前の胴体越しに、檻の向こう側が見えるではないか!」
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女を飲み込んだ塊は、別の女(石井舞)を立ち上がらせる。
「彼は私を見て泣き崩れた。もう、ね、崩れ方があまりに見事で、私はあの日のことを思い出したわ。」
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「夏場に牧場で買ってあげたソフトクリームを地面に落としてしまって、みるみる溶けゆくソフトクリームを前に彼が泣きべそかいたあの夏の日を。」
落ちた瞬間、輪になって座っていた塊はぎゃーともわーともつかない声を上げながら崩れ落ちる。
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男はひどく動揺し、檻の隙間に手を入れて手を触れようとするが、届かない。
「なんて愚かなのだろう?この檻の鍵を失くしてしまった!」
「鍵はわたしが飲みこんじまったのよ。」
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「どんどこどんどんどんどこどん、どんどこどんどん、どんどこどん!」
「お前はそんな姿ではないはずだ。」

「・・・・・・もうほとんど姿が見えないじゃないか!」
「私からあなたは、とってもよく見えるわ。」
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女がまた入れ替わる。
「私は、影ばかりになってしまう。」
「恨んでいるというのか?」
未来永劫あなたのそばに寄り添っても構わないの。」
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「お願いだ、わかってよ。どうして俺がお前をこの檻の中に閉じ込めたのか。」

そこにはもう誰もいない。ただ影だけがそこに残っていることに、男は気づかない。跪き檻の脇で泣く男。


というシーン。
これはおぼんろ末原拓馬くんのテキストから立ち上げました。
テキストには「化け物」と「男」という二人?しか出てきませんが
その化け物について様々な考察と存在の仕方を試して
こういう形になりました。
この形になるまでに、一番苦労したシーンです。
我々の考える男と化け物。
写真だと伝わりませんが、音楽の鳴り響き方、その中で声を出す男と女と塊のは
息遣いも含めて、たくさんのやり取りがあっておもしろかったのです。
佐野くんの叫ぶ姿、なかなかないのではないでしょうか。

テキスト:『「好き」と、檻。』 末原拓馬(おぼんろ)
撮影:三浦麻旅子

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